文部科学省「次世代のがんプロフェッショナル養成プラン」採択事業

メニュー

教育コース

準備中

関東次世代がん専門医療人養成拠点におけるコース設定

3つの教育コース

新がんプロにおいて求められる3つの柱

(1)がん医療の現場で顕在化している課題に対応する人材養成 (痛みの治療・ケア、 地域に定着する放射線治療医・病理診断医、がん学際領域を担う人材)
【がん治療を支える多領域人材養成コース】
手術、放射線治療、薬物療法、がん緩和ケアなどがん治療に携わる医療者間の連携は概ね充実しつつある医療施設が増えている。一方で、疼痛緩和においては緩和的照射、神経ブロック、整形外科的アプローチ、精神的症状に対するアプローチなど、より多領域による医療連携の必要性が明らかである。また分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による多彩な臓器障害に対してはアレルギー・免疫学、皮膚病学、呼吸器病学、消化器病学、循環器病学、腎臓病学など医学全般にわたる連携が必須となってきた。また高齢者は多くの合併症を潜在的・顕在的に有しており、多領域に渡る集学的アプローチが必要な典型例である。こうした中、アカデミアやがん専門の施設などを中心に、骨転移キャンサーボート、疼痛ケアキャンサーボート、免疫療法副作用対策チームなどを結成し、がん治療を支える多領域連携が実現しつつある。これらの取組みはより包括的で高度な疼痛ケア、がん治療の支持療法を提供する手段として期待されるが、これを全国的に発展させるためには、ある程度専門性をもった大学院教育全般においてがん教育を導入することが求められる。

(2)がん予防の推進を行う人材養成 (医療ビッグデータに基づくがん予防医療、がんサバ イバーに対するケアを担う人材)
【がんデータ科学推進人材養成コース】
がん治療の発展は目覚ましく治療成績は年々向上しているが、それと同時にがん罹患者数も増加しており依然として「がん」はわが国の死因第一位である。がん罹患者数を減少させるためには、個別化されたがん予防対策が重要であり、これにはビッグデータの利用が鍵となる。人工知能(AI)の登場により内視鏡診断、放射線診断、病理診断などデジタル医療データを用いたAI診断補助装置の利用やAIによるマルチオミクス解析が広がりつつあるが、次の段階として、こうしたリアルワールドデータを集積したビッグデータを利用したデジタルヘルスの構築が課題である。すなわち、膨大なビッグデータを元に個人毎にデジタルツインを構築し、シミュレーションすることで未来の変化を予見し未病段階で未来の罹患予測を立て個別化医療へつなげることがデジタルヘルスであり、全く新しい次世代の予防医学として期待されている。これからのがん医療を担うがん専門医療人にとって医療データを適切に取り扱い、これらを用いた研究の推進は必要不可欠である。

(3)新たな治療法を開発できる人材の養成 (個別化医療・創薬研究を担う人材)
【がん治療イノベーション人材養成コース】
がん医療は、これまで手術・放射線療法・薬物療法がその中心を担ってきたが、本邦の死因第1位を占めるがんに対する国民の意識と医療への期待は高まる一方である。そのため治療成績のさらなる発展は喫緊の課題であり、低侵襲手術の進歩、集学的治療の発展に加え、重粒子線治療の個別化医療に基づく臨床適応の拡大、分子標的薬・遺伝子治療薬・コンパニオン診断薬の開発、がんゲノム医療の臨床的有用性向上など、多方面からの精力的な取り組みが必要である。このようながん治療開発のためには、基礎研究で見出したシーズを新しい医療技術・医薬品として臨床応用するための、幅広い研究(非臨床から臨床開発に渡るまで)を行う、基礎的な知識と技術を有する人材養成が極めて重要と言える。
 近年、免疫チェックポイント阻害薬は多くのがんの標準治療を一変させたが、未だに多くの患者は治療抵抗性を示す。新たなチェックポイント分子に対する阻害薬、さらにこれらの併用など新治療法の開発は目まぐるしい。また、白血病、リンパ腫、多発骨髄腫に対しては多くのCAR-T療法が既に保険診療として行われ、さらなる開発が進行中である。一方、免疫関連有害事象(irAE)、とりわけCAR-Tによるサイトカイン放出症候群(CRS)、特有の神経毒性(ICANS)の対応には、救急科、脳神経内科など、従来はがんの薬物療法に深く関わっていなかった多領域の医療人による強力な支援体制の構築、およびそのための人材育成が必須である。

インテンシブコース